需要が高まっている理由
お泊りデイが増加している背景とは?
お泊りデイの需要は年々高まっています。施設の数も増加し、2016年には全国6,000ヶ所にもなりました。なぜこれほど多くの施設が作られたのでしょうか。
理由のひとつとして考えられるのが家族間、少人数で行う在宅介護の増加です。少子高齢化もあり、子ども世帯と同居している高齢者は年々少なくなっています。その結果、夫婦間で介護し合ったり、平均寿命が延びて高齢者となった子どもが親の介護をしたりする老々介護が増えています。1人ひとりにかかる介護の負担も大きいため、体力的にも精神的にも厳しい状態に追い込まれてしまいます。特に認知症の介護は夜間の徘徊など目を離せない瞬間も多く、介護をする家族はまともに睡眠がとれなかったり、気力を消耗したりと心身が疲弊してしまうことも少なくありません。
在宅介護を中心としている介護保険では、このような場合に家族がゆっくり休息したりリフレッシュしたりしながら在宅介護を続けていけるようにショートステイを創設したわけですが、常に満杯で空きがないため気軽に利用できないのが現状です。そのため、直前に申し込んでも利用できるお泊りデイはショートステイよりも融通が利くとして需要が高くなっています。
要介護者の負担も少ない
急激に増加しているお泊りデイですが、中には普通の一軒家のようなタイプもあります。決して広いとは言えませんし、介護スタッフもそれほど多いわけではなくお風呂などの設備も一般家庭と変わらないものを利用しているのでショートステイに比べると施設の設備や体制は整っているとは言い切れません。そのため、施設の設備がしっかり整っており、食事や排せつなどの介護サービスも十分に提供してくれるショートステイの方が安全で、安心できるようの思われがちです。
しかし、ショートステイは食事や入浴以外はそれほど活動的に過ごせるわけではなく、元々入所している人も多いため短期で利用する人にとっては居心地が悪いと感じることもあるようです。それに対して、お泊りデイは急に利用する人が多いため、気まずい思いをしないようにとスタッフが家庭的な雰囲気で気さくに接してくれます。
また、日中デイサービスとして機能しているお泊りデイはゲームや散歩、カラオケやマッサージなど高齢者が飽きないように内容が工夫された様々なレクリエーションも体験できます。
デイサービスのみを利用する場合は、自宅から施設まで移動の負担がかかってきますが、お泊りデイは朝、施設に行ってそのまま宿泊するため移動も最小限ですし、慣れた環境で過ごせるとあってショートステイよりもお泊りデイを好む人も少なくありません。