介護の仕事で大事なこと
介護はコミュニケーションが大切
介護という仕事に携わる上で大切なのは「コミュニケーションをとること」です。「おはよう」や「ありがとう」などちょっとした声掛けがなければ生活は殺伐としたものになってしまうでしょう。要介護者にとって今まで簡単にできていたことが人の手を借りなければできない状態になることは悔しく、つらいものです。その気持ちをくみとり、不安を和らげて安心をもたらすためにはコミュニケーションが必要不可欠です。
相手の状況や状態に応じて手段を変える
認知症の方とコミュニケーションをとる場合は、「否定をしない」「声を荒らげない」ことがポイントです。認知症になると記憶力、年月や時間、場所などの見当識、判断力や思考力が低下していきます。「自分がなぜここにいるのか分からない」「目の前にいる人が誰なのか分からない」といった状態になることも多く、日々不安や緊張を感じながら生活しています。認知症の症状や進行スピードは人によって違いますが、安心感を与えるように今の状況に寄り添うことが大切です。
家族と離れて介護施設に入所している人の中には不安や焦りを感じる人もいます。「いつ帰れるのか」「家族が迎えに来るのか」などの気持ちを吐露したときは「そのうち帰れますよ」と一時的な言葉をかけるのではなく不安や焦りを受け止め、共感するように対応しましょう。
コミュニケーションは言葉だけではない
コミュニケーション=会話、と考えているかもしれませんが、実は表情や目線など言葉以外のコミュニケーションからも6割~7割の情報が得られます。たとえば、「うれしい」と口に出していても表情が曇っていれば喜んでいないことが読み取れますし、腕組みをしながら話を聞いていたら否定的な感情があることが分かります。言葉だけではなく、態度や思わず出てしまう行動にも注目して、どんな気持ちなのか本心を理解するようにしましょう。
話し上手よりも聞き上手
相手に声をかけることをコミュニケーションだと考えている人もいるかもしれませんが、声をかけるだけだと一方的なコミュニケーションにしかなりません。高齢者のほとんどは日頃の悩みや不安、つらさを誰かに聞いてもらいたいと思っています。自分が話すことよりも相手の話に耳を傾けて「聞くこと」を心がけることが大切です。
対等な関係であることを忘れないように
介護の現場では介護をする人と介護を受ける人、というように上下関係が生じやすくなります。この上下関係が原因で虐待が起こるケースも少なくありません。しかし、誰も好きで介護が必要になったわけではありません。医療の進歩によって平均寿命が延びた分、介護を必要とする人も増えました。今、介護をしている人が将来介護を受ける側になる可能性もあるのです。